昨夜未明

河童はいる

外国のお菓子を食べる

外国のお菓子が苦手である。

 

長期休み明けの職場やバイト先で必ず出現する海外旅行のお土産。レゴブロックのような原色を用いたド派手なデザインのパッケージだけでもキツイのに、そこへさらに訳の分からないキャラクターがでかでかと描かれたりなんかしているともう最悪。「食欲」への理解が低すぎる。アメリカやらマレーシアやら香港やらからはるばる私の元へ訪れた、見たこともない言語で縁取られた小包たち。どれだけ普段仲が良い人に渡されても、笑顔で受け取りはするもののどうしても家まで連れて帰る気になれず帰り道のコンビニ前でカバンから取り出し燃えるゴミ箱に放り込んでしまう。

そうやって持ち帰る(ポーズをとれる)個包装のお菓子ならこっそり処理してしまえばいいので実害はないのだが、これは自信を持って言い切るがあらゆる社会的コミュニティには絶対に大袋もしくはでかい箱に入った、直接手でとりその場で食べなければいけないお土産を買ってくる奴が一人はいる。バカなのか。そういう奴は大体(ここからは偏見です)、男ならコミュニティにおいて「声がでかい」という身体的特徴が強いだけなのに自分の発言に重みがあると勘違いして発言内容を深く考えるのをやめ、クソつまらんことばかり言って悦に入るタイプ。女なら生理前露骨に体調不良を訴えるタイプ。

このパターンの場合、問題はバックルームや執務室で目の前に差し出されたカンカンからつまむよう勧められた裸のお菓子らをいかにさばくかである。実際これは「対象のお菓子がなんなのか」に拠るところが大きい。ナッツや硬いクッキーなら腹をくくって食べる。少しでも水分を含んでいてやわらかそうなもの(スポンジ系はギリギリアウト)は伝家の宝刀「ごめん今お腹いっぱいなんで後で食べる!」をかまして机上にティッシュを敷きその上に置く。その後はお察しの通りである。よろしくないのは重々承知だが、相手との関係性も自分の精神衛生も両方保つにはこれしかないのだ。許していただきたい。

 

わたしがどうしてここまで外国のお菓子が苦手なのかというと、先に述べた通りデリカシーの無い包装だけではない。当たり前ではあるのだが、栄養表示が外国語で書かれているため全く読めないこと。だってもしここに「デックおじさんの唾」とか「泥」とか「魚の腸」とか書いてあっても全く分からないわけだし。一種の防衛本能が私にファイティングポーズを取らせるのである。あとカロリー表示の単位が謎。

また難しいのは、ここに無理やりっぽい日本語が書いてあってもなおさら不気味さが増してしまうということ。これは私がやばいほどひねくれているというのもあるが、いかにも日本人をターゲットにしている感=カモにしている感をどうしても受けてしまう。どっちにしろ原材料ロクなもんじゃねえ!別に日ごろからオーガニック主義・ノンケミカル派というわけじゃない。毎日コロロ食べてるし。

しかも不思議なのは、ドン・キホーテやKALDYなんかで買える輸入品のお菓子には特に違和感を覚えないということだ。この感覚らは結局すべて日本への信頼感に帰結するというか、自分とお菓子の間に一度「日本政府(?)」が介在して貿易を行っているのでまあ大丈夫だよねと無意識に思っているというか。まあなんやかんや薄く分析はしてみたんですが、とにかく外国から個人が持ってきた謎のお菓子を「得体の知れないもの」として、盲目的に敬遠してしまうところがある。

 

 

とは言いつつ実際じゃあ「味」ってどんなもんなの?という疑問が、23年の人生の中で128476回くらい上記の行動を繰り返した末、今年の冬にやっと生まれたのであった。ていうかみんな外国行ったからってお菓子買ってきすぎじゃない?あれだけ言っといてなんだが、もしかしてこれからの人生において、外見で

外国のお菓子を判断し避けて歩いていくのって、実は割と損してるのか?そうじゃなきゃみんなこんなに買ってこないよな…?

 

ちょうど年末年始の休暇明けに貰った外国のお菓子が手元(自分のデスクのひきだしの中)にあったので、ちょっと食べてみることにした。

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1つ目はシンガポールのお土産。いや、アメリカじゃないんかい。この感じで。おそらくチョコレート味でしょう。ファッジバー。そういえば「ファッジ」って言葉、日本じゃ全然聞きませんね。怖いポイント加算。

Chocolate Cream-Filledということは、やはり断面のビジュアル通りチョコクリームがつめてあると判断して間違いなさそう。クリームの類は普段なら絶対食べませんがここは割り切るのも大切…。ちょっと裏面も見てみますか…

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出ました。これですよ。目が読み解くのを拒んでいるのでやめます。また右上の品質保証みたいなマークが怖い。右のほうはハラル認証ですね。なぜシンガポールのお土産なのに「フィリピン」が橋をかけているのか、こういうスッと理解できないところがまた怖い。

 

 

さて、二つ目はこちら。

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彼女との台湾旅行土産に同期がくれました(その一週間後距離を置きたいと言われ現在冷戦中)。ファッジバーよりもちいさめ。そして「マンゴーケーキ」という日本語注記。これはがっつり私の苦手な外国のお菓子ですね。裏はこちら。

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アジア圏所属の我々にとって漢字の羅列の方が警戒しないと思いがちだが、ここが鬼門。日本人には日本語独特の漢字イメージがあり、硬質なもの・食にまつわるもの・肌に触れても平気そう、なんて語と雰囲気の間にシナプスがつながっていると思うのだが、台湾・香港慣れしていない私にとってお菓子に「醤」やら「 」やらが使われるともう一気に「それは食べるものじゃない」というモードに突入してしまう。

あと「ケーキ」と銘打ってるくせに手触りが固い。怖すぎる。

 

現在気後れしかしていないんですが、一度決めた事。開封してみます。まず一つ目。

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蒸しパンみたい!!どっしりずっしり感。とりあえず中のチョコレートクリームにお目にかかるため真ん中を割ってみます。

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クリームは意外に固そう。…いただきます。

 

…うーむ。

まず総合的に言うなら、チョコレートカステラがラップ無しで1日放置されたみたいな味と歯触り。中のチョコレートクリームはこれもうクリームって言うより水飴みたいな感じじゃない?ってくらいこってりドロドロで、どこかコーヒーみたいな味がする。

…もうちょっと大きかったら食べきれなかった。

 

ではマンゴーケーキのほういってみましょう。

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ケーキというよりソフトクッキーなのかな?ちょっとさっきのファッジバーにならって真ん中で割っておきま…

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なんかでてきた!!!!!!!!

ひぇ~聞いてないよ…おそらくこのねっちりがマンゴーをアレしてコレしたやつだとは思いつつ、おそるおそる食べてみる。

 

 

 

…うまっ

 

周りのクッキー生地(?)はバター風味でパイ寄りのサクサク感があり、中のマンゴーねっちりも酸味あり果物満載で、リッチなクッキー生地となんとも合う。え、うそおいしい。普通においしい。月一で食べたいかも。

 

 

こうして2種類の外国のお菓子を食べ終えたわけですが、味で言えば後者の方が美味しかったです。前者も好きな人は好きかも。もう疲れたのでさっくりと一言でまとめるならば、「身体の中に入れることに手放しで賛成できない」という気持ちがずっと私につきまとっていたということでしょうか。

 

もしまたもらうことがあればやっていきます。克服につながる(克服する必要があるのかどうかはおいておき)かもしれないし。

 

 

水をたくさん飲んで寝ます。